塾 アルバイトの検証結果を公開

現在は、みんな結婚しなければならないという時代ではないし、近年独身者が急増している。
また一人親家庭の生活の大変さほどいうまでもない。
しかしこれらのテーマも本書の本筋ではないので除外する。
男女が結婚して家族を形成するというモデルを想定して議論を展開することにしよう。
実際、多くの人が結婚し子育てするというモデルは現在でも有効である。
女性の有配偶者率を年齢別にみたものである。
未婚だけでなく離婚も増えているため、有配偶者率はかなり低下してきているが、三〇代後半では八割は結婚している。
さて、独身の男女がともに生活するだけでも、拘束時間は増加する。
この拘束時間が耐えられない人は事実上結婚できない。
しかし、この程度の拘束時間は大したものではない。
大人同士のやりくりで何とかできるだろう。
問題は子供を産み育てる場合に発生する。
とくに二〇代から三〇代にかけては、働き盛りとして仕事も充実し、最も忙しい時期である。
この時期に、夫婦二人とも正社員として働き、かつ子供を育てることは親の手助けがない限り、時間的にかなりきびしいのが実態である。
それでも、残業のない生活であれば、なんとかクリアーできるかもしれない。
また、子供の病気などに対応する余力はあまりないから、二人とも全力で仕事に没頭するわけにはいかない。
だからこそ、子育てしようとする夫婦の多くは、妻が仕事をやめるか、負荷の軽い仕事に移るかするケースがふつうである。
二人とも昇進を考えない仕事につけば、共稼ぎは可能である。
もちろん、通常、賃金は年齢とともにそれほど上昇しないだろうが、それでも二人でともに稼げば、よい生活ができるし、一方が解雇の憂き目にあっても、なんとか生活を維持することはできる。
その意味では、労働負荷の少ない労働を増やす必要がある。
労働時間と労働負荷が小さくなるのだから、賃金が低いのはやむをえない。
キャリアもそこそこで家庭生活と折り合いをつける働き方である。
無理をしては、倒れてしまう。
非常事態のためのバッファー子育てにとって重要なことは、何も全体的な労働時間だけではない。
子供は小さいときにはとくによく病気をする。
伝染病などのときは預かってくれるところは少ない。
家族のだれか一人が病気や怪我をするだけで、生活時間配分はうまくいかなくなる。
だから、こうした非常事態のためには、バッファー(いざというときに助けてくれる人か施設)が必要である。
息抜きも必要である。
そうでなければ、皆が参ってしまう。
では、どのようなバッファーを現在の多くの夫婦はもっているのであろうか。
女性が専業主婦としてこのバッファー機能を一手に担う場合以外にどのようなものがあるだろうか。
現実には夫が自営業や自由業である場合も少なくないが、以下では、とりあえず、夫は長時間働く正社員であると仮定する。
妻はパートタイマー最も多いのが、このパターンであろう。
夫は正社員、妻はパートタイマーである。
近年ますます増えている。
パートタイマーは仕事への拘束度が正社員に比べて相対的に低いので、パートタイマーのままでよいと思う女性も多いが、現在の賃金水準では、夫が失業したときにとても家計を支えきれるものではない。
パートタイマーは、夫が正社員であるということを前提として成り立っているのである。
他方、非常時対応は妻が一手に担う。
非常時には休めるという暗黙の了解がある。
仕事への拘束度が高い正社員の夫がいなくなるとは思えないので、このパターンは今後もなくならないだろう。
(2)親との同居・近居親との同居や近居によって、非常時に備えることも多い。
実際、三世代同居の場合、妻の労働力率は高い。
最近は、近所に住むケースも多い。
日常的に親の手助けを得ているケースが多いだろう。
家族単位での仕事と家事・育児の伝統的な分担のあり方の一つである。
主として祖母が家事・育児を担当し、親夫婦が収入のともなう仕事に従事するというパターンである。
長時間保育-お金で解決夫婦二人とも正社員で、親の手助けが得られないとき、子育ては時間的に非常にきびしいものとなる。
やむなく、お金で解決する。
認可外保育所や二重保育が必要となる。
そして、しばしばこの費用は一方の収入のかなりの部分を使ってしまうことになる。
それでも、仕事をやめないのは、子育て期間よりも就業期間のほうが何倍も長いからである。
一時のがまん(とても長いが)で、キャリア形成をつなごうという決意がある。
この時期を過ぎれば、経済的には十分ゆとりができる。
このきびしさを避けたければ、子供を産まない、あるいはせいぜい一人どまりということになる。
延長保育や学童保育さらには病気時の保育施設の整備など、現在の政策課題として進められていることは周知のとおりである。
こうした社会的なしくみを充実させることがきわめて重要であることはいうまでもない。
問題は費用負担であろう。
子供を育てるための十分な収入は夫が稼ぎ、十分な時間は妻が担当するというのが、男性片稼ぎモデルである。
妻が十分な収入を稼ぎ、夫が子育ての主要な時間を担当するという女性片稼ぎモデルもあるが、まだこのパターソは一般化していない。
先の三つのパターン、つまり妻はパートタイマー、親との同居・近居、長時間保育施設への依存、のうちで、多くの場合現実であり、今後の趨勢として減少すると認識されているため本気で論じられていない。
その結果、現在社会的に議論されているのは、長時間保育施設の充実である。
なるほど、夫婦とも正社員で働きつづけるということは男女共同参画社会の実現という目的からすれば、望ましいだろう。
またそのために、学童保育を含めた長時間保育制度の充実は必要であろう。
しかし、それが理想的な働き方・生き方かというと必ずしもそうとは言い切れないだろう。
もし夫婦とも収入のある仕事をつづけながらしっかりとした子育てをしようとすれば、子育てのための収入と時間を夫婦が協力していかに確保するかを考えなければならない。
それには何が必要なのだろうか。
子育てに必要な収入と時間私たちが本気で夫婦が正社員で共稼ぎをしながら子育てすることを考えるのであれば、少なくとも夫婦どちらかが、次の条件をクリアーしなければならない。
日常的な問題として、原則として残業を拒否できる。
短時間就労以前の問題である。
基本的には、午後五時に仕事が終了できることが必要である。
夫婦二人とも、そうであればいうことはない。
非常時として子供など家族の病気のときなどは休むことができる。
これは無給でよい。
もし、これが可能でないとすれば、親であれ地域の友人であれ、助け合いのできる人が必要である。
助けてもらうだけでなく、こちらも助ける覚悟が必要だ。
転勤がない。
転勤があっては(とくに何回もあっては)、無理である。
キャリア形成とあまり関係のない転勤もあるが、キャリア形成上必要な場合もある。
こうした場合には、割り切りが必要である。
キャリア形成上の一定の不利は覚悟しなければならない。
仕事内容のともなわない高処遇は長続きしない。
正社員とパートタイマーがまったく同じ仕事をしていれば、全員パートタイマーになるだろう。
また、在宅勤務が可能であればよいが、在宅勤務で正社員というのは例外的である。
もちろん、社会的支援も必要である。

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